■遺言書の種類と作り方■
たとえば、「私が死んだら、財産のすべてを長男に与える」というように自分の死後の財産のことなどについて書き残すことを遺言といいます
遺言は代理人によってすることは許されず、種類と作り方は法律で定められています。
それ以外の方法で作成された遺言書は無効となってしまいます。
=無効な例=
・口頭によるもの
・パソコンやワープロで打ったもの
・ビデオによる録画
遺言は満15歳に達すれば誰でもすることができます。また、遺言の能力は死後に発生するので本人の生存中は何の効力もなくいつでも撤回できます。
死んでからの遺産争いを避けようと作成する遺言書ですが、無効な遺言書を作成してしまっては元も子もありません。
■普通の遺言は3種類
普通の方式よる遺言が不可能な場合の「特別方式」の遺言(たとえば、臨終の間際や沈みかけた船の中)を除く、普通の遺言は次の3つです。
(1)自分の手で書く-------自筆証書遺言
(2)専門家が作成する-----公正証書遺言
(3)内容を秘密にしたい---秘密証書遺言
■自筆証書遺言
自筆証書遺言は、遺言者が全文、日付、氏名を自筆で書いて、印を押して作成する遺言書です。
そのため、タイプライターやワープロで打ったものは自筆証書遺言として認められていません。
日付に関しては「平成19年4月吉日」と書いた場合に日付が特定できないと理由から遺言書全体を無効にした判例もあります。
また、押印は拇印でもよいとした判例がありますが、法律の条文どおり押印するのがいいでしょう。
自筆証書遺言は手軽でいつでもどこでも書けるため、書き落としなどの不備などのため有効か無効か裁判で争われるケースが多いようです。
また、自筆証書遺言の場合は、保管していた者または死後に発見したときは、開封する前に家庭裁判所に提出し「遺言の検認請求手続」というものをしなければなりません。
これは、遺言書の偽造や変造をふせぎ、遺言の内容を明確にするために、遺言がどのような用紙にどのような文具で書かれているか、あるいは署名や日付はどのようになっているかなどを記録する手続きで、およそ1ヶ月くらいかかります。
それまで相続人は遺言の内容を知ることはできません。また、この検認の手続をしないで遺言書を開封した場合、それを開封した人は5万円以下の過料に処せられることがありますが、遺言が無効になるわけではありません。
■公正証書遺言
日本公証人連合会HPより http://www.koshonin.gr.jp/a3.html
公正証書は、法律の専門家である公証人が公証人法・民法などの法律に従って作成する公文書です。公文書ですから高い証明力があるうえ、債務者が金銭債務の支払を怠ると、裁判所の判決などを待たないで直ちに強制執行手続きに移ることができます。すなわち、金銭の貸借や養育費の支払など金銭の支払を内容とする契約の場合、債務者が支払をしないときには、裁判を起して裁判所の判決等を得なければ強制執行をすることができませんが、公正証書を作成しておけば、すぐ、執行手続きに入ることができます。
このように、公正証書として作成する遺言書は効力が否定される可能性が極めて少なく確実です。そのため、自筆証書遺言等で必要な検認手続が不要で、死後すぐに遺言の内容を実行することができます。また、さらに公正証書の原本は最低20年公証役場に保存されるので、紛失・変造の心配もありません。
「公正証書遺言」や「秘密証書遺言」の作成には、証人が必要となります。しかし、証人は誰もがなれるというものではなく、未成年者や利害関係のからむ人は証人になれません。たとえば推定相続人やその配偶者、受遺者(遺言により財産を貰う人)は証人になれません。
証人2人の立会いのもと、公証役場で遺言者が公証人に遺言の内容を口述し、それに基づいて公証人が遺言書を作成します。それに、遺言者と証人が署名・押印して、公証人も署名・押印して完成します。
(ただし、遺言者が署名できないときは公証人がその理由を付記すれば有効となります)
■秘密証書遺言
秘密証書遺言は遺言をしたいけどその内容は死ぬまで秘密にしておきたい場合に作成します。
まず、遺言を書いた証書に署名・押印し、それを封筒に入れて証書に用いた印鑑で封印します。自筆証書遺言と違いワープロでも代筆かまいません。
さらにこの封書を持って証人2人以上と供に公証役場に出向き、公証人に提出して必要事項を書き留めます。
この秘密証書遺言は自筆証書遺言と同じく、家庭裁判所による検認が必要となります。
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